第1回推進会議を傍聴してきました。
この会議は『滋賀県再生可能エネルギー振興戦略プラン(平成25年3月策定)』の
基本理念に掲げる『「地産地消」「自立分散型」エネルギー社会の創造』に向けて
更なる取組を進めるため、県内における産学官金民の各セクターがそれぞれの強みを
活かして相互に連携して強化していくために設置されたものです。

今回は第1回の推進会議の開催とあって
進行役に推挙された滋賀県立大学 安田教授のもと
1.推進会議の設置要綱の説明
2.滋賀県における再生可能エネルギーの現状と課題
3.各構成員からの再生可能エネルギー等に関する取組の紹介および意見交換
の流れで進められましたが、
2項目の現状と課題では、滋賀県で進行している大規模なプロジェクトとして
弊社の「琵琶湖スマートコモンズ」が実証段階に入る旨を紹介されました。
また、経済産業省からは関西における実証プロジェクトの事例として
“琵琶湖周辺における複合型スマートコミュニティ事業化”を挙げていただきました。
滋賀県内の再生可能エネルギーの取組は市民共同発電や小水力発電、そしてバイオマス発電など県内全域で導入が拡大しており、この会議でますます再生エネに対して企業や市民への関心に繋がっていってほしいものです。
その代表的なビジネスモデルとして「BSC」(琵琶湖スマートコモンズ)が地域活性化および地域貢献に寄与できればと思います。
以上、「しがスマートエネルギー推進会議」の第1回推進会議の傍聴報告でした。
平成26年度第1回セミナー「スマートコミュニティ最前線」
が9月19日(金)大阪市の國民会館大ホールにて開催されました。

「スマートコミュニティ構築に向けた国の取組について」や
「低炭素まちづくり計画(エコまち法)について」など
スマートコミュニティの取組状況やディマンドレスポンスの普及促進、
そして今後30年間における人口減少•超高齢化、地球温暖化対策に向けた
コンパクトな低炭素なまちづくりの推進について国の施策の説明。
また【スマートコミュニティ推進に係る連携機関の取組】としては
大阪南港に建設中の「大型蓄電池試験•評価施設について」の案内と、
「NEDOにおけるスマートコミュニティ分野への取組」国内外のNEDOの
実証事業の成果と展開についての説明が行われました。

今回もやはりスマートコミュニティの事例紹介が興味深い。
【スマートコミュニティの事例】では2つの事例が紹介されました。
「Fujisawaサスティナブル•スマートタウン」
松下電器の工場跡地に新たな地域貢献としてスマートタウンを構想。
約19ha(約6万坪)の敷地に住宅(約1000戸)、商業施設街区、健康•福祉•教育街区を計画し、100年続く街づくりを目指すものです。
住宅はすべてスマートハウスで街のエネルギー情報を収集•可視化した自立共生型エネルギーマネジメントタウン、コミュニティソーラーを設け、平常時は再生可能エネルギー活用促進、非常時は地域へ電源開放、
見守りカメラやセンサー付きLED街路灯など街の安心•安全を見えないゲートで守るセキュリティサービス、
など“生きるエネルギーがうまれる街”として2018年の街の完成に向けてプロジェクトが推進されています。
「みなまた農山漁村地域資源活用プロジェクト事業」
水俣市では環境(ゼロカーボン化)の取組みを通じた産業振興•雇用の確保を目標に、環境まちづくり推進事業が2011年スタート。
とくに農水産業における新エネルギー導入と環境制御システムのビジネスモデル実証が行われました。
太陽光発電とヒートポンプを用いて果実(でこぽん)のビニールハウスの化石燃料の使用率50%削減の実施。使用電気量は増加したが重油使用50%削減は実証できたようです。
海面養殖栽培総合マネジメントシステム(牡蠣養殖)の実施では、牡蠣棚に太陽光パネルとマイクロバブル装置(水質改善)を採用し、高い生存率と塩害に強い太陽光パネルの実証を得ています。
また “くまもと県民節電所”ではサイト上で「見える化」し、参加される家庭、企業、団体の皆さんの省エネ•節電効果を周知。県民総ぐるみでの節電行動を促進しています。
今後の展望としては2012年〜環境首都創造事業(環境省事業)として「環境負荷を少なくし経済発展する新しい形の地域づくり」が目指されており、木質バイオマス発電構想も推進されていくようです。
全国で積極的に進行するスマートコミュニティに関する取組は構想から実証へ移行しつつあります。今回配布の資料内でも、琵琶湖周辺における複合型スマートコミュニティ事業化として弊社「琵琶湖スマートコモンズ」の事業も掲載されていました。一企業のプロジェクトとしてだけではなく、地域活性化や産業振興への連動を担う事業としていかなければ!と改めて実感いたしました。

[関西]スマートエネルギーWeekが今年も開催された。
[関西]スマートエネルギーWeek2014は、
2号館[関西]スマートグリッドEXPO (30社出展)
[関西]PV EXPO 2014、[関西]太陽電池展 (40社出展)
3号館[関西]太陽光発電システム施工展 (100社出展)
4号館[関西]二次電池展 (30社出展)、[関西]太陽光発電システム施工展
で構成され、最終的には200社の出展で西日本最大での開催に。

甲子園球場グランドの2倍の広さには展示ブースがぎっしり。
今回は約25000名の来場が見込まれている。
一般的なモーターショーなどの大規模&豪華なディスプレイとは違うものの、
業界を挙げての企業間商談イベントなので各ブースの接客や説明をする姿は真剣そのもの。なかにはコンパニオンを要して華やかさで人気を集め、景品引換で名刺集めをする企業もありましたが。
今回はとくに基調講演、特別講演に注目していたので3日間ともエントリー。
スマートエネルギー関連では関西電力、東芝、東京電力、エナリス、大阪ガス、
NTT西日本など、有力企業による講演がラインアップしているので、
その前後に展示ブースは大阪ガス、富士電機、日本ガイシなどの
スマートグリッド関連と太陽電池展のある2号館を中心にチェックすることに。

講演30分前には受講者が続々と会場入り、満席のよう。
講演受講の方だけの受付もあり、関心の高さ、期待の高さが伺える。
関西電力は再生可能エネルギーの普及拡大と貢献とスマートメーターの活用についての内容であった。太陽光発電の導入への課題と対策が説明されるものの、太陽光発電の需給調整力の難しさを問題点とし、蓄電池を用いた制御システムの研究やロジック開発の段階でおおきな進捗はまだまだ期待できないと感じた。
東芝は新電力会社の参入や電力自由化に伴う「電力」需給の新しい仕組みでは市場&制御機能の大切さをアピール。スマートメーターの意義と実証成果によるスマートコミュニティの新たな価値を目指す企業姿勢を紹介。「電力」の価値からの人の心の「価値観」=新ビジネスの創造を。というちょっとマインド思考について語られまとめはちょっと肩すかし気味であった。(あくまで個人主観です…)
基調講演会場が設けられた4号館は太陽光発電システム施工展。
50ほどのブースでは太陽光発電の施工はもちろん発電量、施工コストパフォーマンス、メンテナンスなど具体的なパネル紹介が多く並んでいたが、数字に見るメリットでは各社の相違点、昨年からの進歩を見つけるのは素人目には難しかったです。しかし各通路とも多くの人が行き交い、積極的に応対する姿が印象的であった。
以上、イベント第1日の報告まで。
積極的に再生可能エネルギーの導入促進に取り組む
滋賀県地域エネルギー振興室の主催により
2014.6.23(mon)
日独エネルギーシフトセミナー
「地域主導によるエネルギーヴェンテ(大転換)」が開催されました。

脱原発を掲げ、再生可能エネルギー先進国ドイツにおいて
エネルギーヴェンテ(大転換)を地域で実践する
市民エネルギー会社「ソーラーコンプレックス社」ベネ•ミュラー氏を招いて、
地域主導によるエネルギーシフトの在り方や
資源とお金が循環する地域づくりについての講演です。
当日は平日の昼間にも関わらず
定員70名をはるかに超える約150名ほどの参加があり、
京都大学や島根大学の教授をはじめ企業や一般の方まで。
この聴講の人数が再生可能エネルギー(以下、再可エネ)への関心の高さを物語っています。
ドイツにおけるエネルギー政策は
2002年4月/
●4大エネルギー会社と連邦政府(社会民主•緑連立)の脱原発協定
●「商用エネルギー生産にための原子力利用の計画的終了法」施行
などからスタートしています。
政権交代などを経て、現在の連立政権は脱原発を決定。
古い原発8基は即時運転終了、
より新しい原発は段階的に2022年までに運転終了となっています。
今回の「ソーラーコンプレックス社」は
2000年に20人の市民が有限会社として設立。
2007年から株式会社となり、現在の出資者数1000件。
2003年来黒字、2004年から配当を実現。
太陽光と太陽熱、風力、水力、バイオマス(地熱以外のすべて)などの
設計、建設、運転まで一貫して行い、それを市民や企業で共同出資。
誰もが新たに生まれるエネルギーシステムに参加でき、
地域限定で活動し、プロジェクトや設備は現地の雇用と経済価値を創出。
循環を閉し、エネルギーコストの流出を減らすこと、が主な基本姿勢です。
ザンクトゲオルゲン、ヘガウ•ボーデン、ボンドフル村、ムジークインゼル地区、
ガイリンゲン村などそれぞれの地域特性を活かした規模や発電方法、
年間の発電量とCO2削減量、売電収入、
地域の経済価値に至るまでを詳細に紹介していただきました。
村や地区といった小規模なエリアが中心ではありますが
エリアの需要を超える電力生産の余剰分を都市部に売電することで
地域経済の発展と豊かさを実現できているとともに、
国内(周辺)へのエネルギー供給をも実現。
こうした地域主導の活動が温暖化や環境エネ問題に大きく貢献するものと感じます。
さらにドイツではこの「ソーラーコンプレックス社」以外でも数多くの市民出資•参画による協同組合や株式会社など多様な主体の再可エネ活動が行われています。
多くのそうした努力があり、
発電に占める再可エネの割合は過去14年で5倍となっていて、
2020年までにドイツの電力需給の35%以上が、
2025年までに40〜45%が国産再可エネで生産の見込みとのこと。
この現実には日本の政策の遅れ、市民の関心など日独の差を痛感せずにいられません。
さて、意見交換会で興味深いデータがありましたのでご紹介します。
現在の日本国内における使用総電力需要のうち、2025年までに
50%を再生可能エネルギーで賄うようにするとしたら…の試算です。
○風力(50%)250ヶ所 →82500MW
○太陽光(25%)125ヶ所 →84000MW
○バイオマス(10%)50ヶ所→6250MW
○水力(10%)?ヶ所
○地熱(5%)3000ヶ所 ※水力と地熱の数字が見えませんでした。
なんとこれだけの建設が必要で、総費用は3600億ユーロ!
1ユーロ140円で計算すると総額50兆円でしょうか。(驚)
5兆円/年間の膨大な予算が必要になるとのことです。
が、東日本大震災の復興予算で年間5兆円程度の計上をしているので
十分可能な予算であろう、とミュラー氏曰く。
最近、全国の九電力すべてで株主総会が開かれました。
いずれでも、経営責任を問う声が強く上がりましたが、
経営側はすべて「再稼働で経営立て直し」を繰り返し、
「脱原発」を求める株主提案を否決しました。
経営側には「脱原発」に舵を切り替える考えは全くないことが明らかになりましたけど、
橋下大阪市長の「(関電の)経営陣として失格!」の発言も分かる気がします。
参考までに
化石燃料の依存度ですが2010年度は62%でしたが
2013年度は88%と石油ショック(1973年度)の80%よりも高い依存度に。
原油の83%、LNGの30%を中東地域に頼っていますので、
この地域の不安定さが日本のエネルギー供給に大きな影響があります。
そして今、私たちの身近な回りではガソリン価格の急騰が止まりません。
しかも今後生産量の低下も予想され、ますます高騰が危惧されます。
工業製品もコスト↑で価格上昇、家計を圧迫ってことも心配です。
原発の代替エネルギーが化石エネルギー依存のままで、
「原発の再稼働、再稼働」を繰り返す電力会社。
私たちの近未来はどうなる???なんて真剣に考えてしまいます。
講演報告から愚痴になってしまいましたね(笑)失礼いたしました。
これで電力の小売りが全面自由化となり、
再来年から一般家庭でも電気の契約先や
料金メニューを自由に選べるようになります。

そんなタイムリーななか、
「電気セミナー“電力会社を選ぼう”」に参加してきました。
本セミナーでは、この電力自由化の最新情報と、
大阪電力選べる環境づくり協議会会員企業から新電力各社の導入事例が紹介されました。
今回の参加企業のエナリス、エヌパワー、エネサーブなどの事例からも
太陽光、水力、風力、地熱、バイオマスなど
さまざまな再生可能エネルギーでの電力供給システムを構築され、
消費者への安定供給、割安な電力供給はもちろんのこと、
用途に応じた料金メニューなど、
選ばれる電力会社への特徴づくりを模索しているようすが実感できました。
現在、新電力参入企業は200社を突破しているそうですが、
異業種からの参入が多いのも注目です。
代表的なところでは携帯電話業界(ソフトバンクやKDDI)、
ガソリンスタンド業界(JXホールディングス•ENEOS)、
外食産業界(ワタミ)などなど。
携帯電話とのセット、CATVやインターネット回線とのセットなど
企業独自の付加サービスがビジネスチャンスを生むとともに、
消費者には価格だけでなく魅力ある商品メニューの誕生に
期待がどんどん膨らんでいくことになります。
弊社が開発を進めている「琵琶湖スマートコモンズ」においても
今回の電力小売り自由化をふまえ、市民共同発電や一括受電など
魅力あるスマートコミュニティ形成(街づくり)のために
何をメリットとしていくべきなのかを今後とも検討していきたいと思います。
日本で最初の事業用水力発電所「蹴上発電所」

「琵琶湖発電所」は琵琶湖疏水で得られる水力の有効活用の目的で建設。第1期発電所は明治23年(1890)年1月起工され、明治24年(1891年)5月にはペルトン水車(120馬力)2台、エジソン式直流発電機(80kw)2台の出力160kwで運転を開始しました。
第1期工事完成時には20基の水車と19基の発電機が据え付けられ出力は1,760kwになりました。

発電•送電された電気は、明治28年(1895年)、塩小路(現在の京都駅)〜伏見駅へ走る日本初の市街電気鉄道(京都市電)の開通に大きく貢献。京都の街はもちろん、京都市内の時計工場や紡績工場に動力用電力として供給され、明治31年には2000馬力にも達していたそうです。京都の近代化に大きく貢献した蹴上発電所は、開業から100年以上を経た今でも電気を送り続けています。
また、琵琶湖疏水は用水以外にも水運路として使用されていましたが、標高差の大きい(582mに36m)蹴上にはインクライン(傾斜鉄道)を設けて船を台車に載せて渡して(上下させて)いました。 インクラインのレールと車両が現在も比較的良好な状態で残っていて人気の観光スポットとなっています。


レンガ作りのモダンな建物。現存しているのは第二疏水を利用した第2期工事の発電所だそうですが、それでも明治45年から稼働し、現在も関西電力蹴上発電所として現役ですから、なんと100年近い長寿!京都の産業振興に大きく貢献してきた水力発電所が市街に現存している。支社にきて1年、毎日なにげに前を通っていたとは…驚きました。

蹴上発電所に資料館などはありませんが、すぐ北にある琵琶湖疏水記念館(京都市左京区南禅寺草川町17)は同疎水竣工100周年を記念して平成元年に先人の偉業を顕彰するとともに京都の活力の源となることを願って開館。ここにはスタンレー式発電機や直径2.4メートルもあるペルトン式水車なども展示されています。ご興味のある方はぜひ訪れてみてください。
◆ 雑学1/主な水力発電所の最大出力
関西電力の水力発電所は、黒部川、庄川、神通川、木曽川水系のほか、近畿地方(大阪府を除く1府4県)、福井県に合計151ヶ所、総出力約821万kWあります。※平成25年11月現在
蹴上発電所/4,500kw(水路式)
同じ淀川水系の宇治発電所/32,500kw(水路式)
黒部第四発電所/355,000kw(ダム水路式) クロヨンの名で親しまれている
奥多々良木発電所/1,932,000kw(純揚水式)
奥吉野発電所/1,206,000kw(純揚水式)
◆雑学2/蹴上の名の由来
いくつかの本に名の由来が書かれているが、いずれも類似した解釈がなされています。竹村俊則氏の「昭和京都名所図会」には、このあたりは三条白川橋から山科大津に至る街道筋にあたり旅人が往来する道であった。安元3年(1177)の秋、牛若丸(後世の源義経)が金売り吉次に伴われて奥州目指してくだる途中、たまたまここを通りかかった平家の武士関原与市重治 の馬が水溜りの水を牛若丸に蹴りかけてしまった。牛若丸がその無礼をとがめて喧嘩となり、与市を斬り捨てたことからこの地区を蹴上と呼ぶようになったというそうです。

3月26日(水)•27日(木)の2日間、
「京都スマートシティエキスポ2014•国際シンポジウム」が開催されました。

このシンポジウムは、スペインバルセロナ市で毎年開催されている
「スマートシティエキスポ世界会議」を京都•けいはんなで開催し、
スマートシティに係る国際的なビジネス交流、
技術交流を促進するための国際シンポジウムです。

第1回となる今回は「日本スペイン交流400周年事業」に位置づけ、
メインテーマを「グリーンイノベーションがもたらす次世代の都市と産業の創造」。
スマートシティ関連の企業、研究者•自治体、各分野の最先端に従事されている方々の
講演とパネルディスカッションなどが行われました。
開催日は2日間。会場での分科会も2つのホールであり、どの講演に参加するのかも悩むところです。
三菱自動車工業(株)代表取締役社長 益子 修 氏の
記念講演「スマートシティ構築に向けた電動車の役割と三菱自動車の取組」
マサチューセッツ工科大学センシアブルシティ研究所所長 Cario Ratti氏の
基調講演「ビッグデータシティ」
その後は「次世代につなぐスマートな社会システムの構築」をテーマとした
メインホールでの講演を視聴。
◇イギリス•スペースシンタックス社代表取締役 Tim Stonor氏の
「人間中心の都市計画、建築設計、空間経済学に関する予測分析」
◇ 三菱重工業(株)エネルギー環境ドメイン事業開発•ICT推進室主席部員 半谷陽一氏の
「けいはんなスマートコミュニティ実証のおけるデマンドレスポンスの取組みの成果と課題」
など、新たな技術•システムの開発動向や都市問題に取り組む事例が専門的に紹介されました。

なかでも興味深かったのは、
けいはんなのスマートコミュニティ実証でした。
この地域に住まう700世帯で価格誘導型デマンドレスポンスを実証。制度の設計段階で価格メニューの選定を64000人を対象にwebでの選好度合調査を行い、実施。電気使用料の価格メニュー(TOU、CPP、PTR、RTP※専門過ぎて理解できなかったところも多々ありますが)の高い設定での夏の実証では3.6%〜9.3%の需要量削減効果が認められたそうで、やはり積極的なエコ意識は価格帯により変動するという傾向なのでしょう。実験という内容ではあるものの高い電気代の購入&節電リベートのある設定(※万一、理解があやまっていたらすみません)を好まれない世帯が多かったようです。

生活に欠かせない電気の価格は家計に大きな影響をもたらします。
太陽光発電システム導入にはコストも高く減価償却にも長い年月を要するのも事実。かといって安い電力会社を選ぶ手段もない。一括受電は認められていない…そんな現状でのスマートシティ実現にはまだまだ高いハードルがいくつもあります。
エネルギーの地産地消、地域としてあるべきスマートコミュニティの形、世界中での具体的な取組みを参考に「琵琶湖スマートコモンズ」を具現化するためにまだまだ勉強が必要だと実感したシンポジウムでした。
昨年の10月から開催されてきた「琵琶湖スマートコミュニティ事業化検討委員会」も
いよいよ第3回を迎え、経済産業省への報告書案について議論がされました。

まずは報告書案の構成についての説明。
1. 調査の概要
2. エネルギー管理事業の計画策定に係る調査
3. エネルギー需給や管理を担う個別事業の検討•具体化
4. スマートコミュニティの実現に向けた取組
など今回の事業化委員会の目的や概要に沿って議論された内容を
4つの項目で報告されるとのことです。

再生エネルギー有効利用の住民アンケート調査についての最終報告。
さらには、地域エネルギー供給事業や急速充電サービス事業、地域情報サービス事業について、
工業団地に想定する企業の業種におけるシナリオ別のエネルギー需要量の試算や電力供給形態の比較。
また、「琵琶湖スマートコモンズ」の地域エネルギー供給事業プラン別の収支の算出、
急速充電サービス事業、地域情報サービス事業に対する収支の算出などが報告されました。

このプラン別での収支はモデルケースであり、事業化の可能性のあくまで目安。
エネルギー需給は企業業種により大きく変わるものなので、
事業化の採算性重視ではなく、
事業化計画については必要性を考慮しての取捨
モデルタウンしての効果的な節電•省エネ対策
先端ネットワークの情報網の利活用と追求
エリアマネジメント(防犯、見守り、買物支援など)のサービス充実と向上 など

今まで2回の委員会で議論が繰り広げられてきた、
「琵琶湖スマートコモンズ」に住まう人と集う企業のエネルギーデマンドレスポンスに関する具体案、
スマートハウス(タウン)の価値を見いだせるインテリジェンスを明確化し、
先駆的な事業として注目を集めることで、
現状の厳しい規制をも変えていけるような事業報告書としてほしい。と、
そんな各委員およびオブザーバーの熱い想いが最後まで活発な討議に現れていました。

委員である弊社芦田からも
「地域主導による災害に強い街づくり」「産・官・学・地域の連携」
「売り手よし・買い手よし・地域よし」となるような
スマートコミュニティにして行きたいと呼び掛けさせて頂きました。
そして最後に、事務局から今回の可能性調査事業の継続として、
次年度早々の申請を予定している次世代エネルギー技術実証事業についての概要報告の発表がありました。
さあ、これをもとに事務局から報告書が提出されますが
さらなる展開に期待がふくらみます。
以上、「琵琶湖スマートコミュニティ事業化検討委員会」の参加レポートでした。
尚、「成果報告書(概要版)」が3月末頃には執行団体より公表されますので、
その折には当ホームぺージでもお知らせさせて頂きます。
『FACTAS』(ファクタス)とは
ひとつひとつの工場に対して、ひとつひとつの答えを出す。
FACTORY(工場)に+付加価値のある提案をする
三和建設株式会社の工場プロデュース事業のコンセプト(造語)だそうです。
三和建設さんは弊社京都支社の施工等で
たいへんお世話になったのですが、
食品工場の建設において非常に定評のある会社です。
第5回目のセミナーには弊社の開発している
「琵琶湖スマートコモンズ」を紹介できる機会を頂戴し、
参加をさせていただきました。
第5回「FACTAS」セミナー
あなたの食品工場に、価値を足す。
FACTAS+FOOD
今回のメイン講演は食品企業様向けに
会計の地盤となる「原価管理」にスポットライトを。
(株)日本コンサルタントグループコンサルティング部
中山 明 氏をお招きして、
食品メーカーの経営改善と工場改善プロジェクトの進め方について
事例をもとにしながらのお話でした。

「原価管理」と「工場収益改善」といった食品企業の永遠の課題には、
正確な積算方法はもちろん工場全体の収益構造を再構築することが最も重要。
しっかり細分化してそれぞれの項目で現状の把握。
目に見えなかった構造上の良し悪しや
問題点の原因究明が一目瞭然になるということです。
そして結果は数字の羅列だけでなく、
グラフや着色で単純に理解できる見える化にする手法が一層効果的に。
経営改善はもちろん、会社幹部をはじめ
社員の意識向上 (モチベーションやモラル向上)につながるようです。
HEMSの見える化によって今日の発電量は?消費電力は?など、
家庭内のエネルギーが子供でも理解でき、
省エネが楽しくできるってことに似ているような気が……。
視覚的効果って大切ですよね!

さて、セミナーの最後にお時間を頂戴し、
芦田部長よりお集りの食品関連企業の皆様に
『琵琶湖スマートコモンズ』の開発コンセプトや大津市の立地特性、
経済産業省の採択による事業化委員会の設立と進捗など
についての説明ができました。
セミナー資料とともにチラシとパンフレットも
同梱していただけましたので、
企業様からの問い合わせがあれば、と大いに期待しているところです。
日時:2014年2月21日(土)13時〜
場所:オーバルホール(大阪梅田 毎日新聞大阪本社ビル)

テーマ:
『総合エネルギー効率1.3を目指して
「プロジェクトリーダーに聞く地域最適エネルギー需給システムの最前線」』とし、
名古屋大学大学院 奥宮教授をはじめ総合エネルギー効率が高い先進事例である
東京スカイツリータウン、清水建設新本社ビル、東京電機大学東京千住キャンパスの
各プロジェクトリーダーが講演するシンポジウムが開催されました。
演目1
演題「エネルギー効率が高くなる快適な建築•都市の実現に向けて」
名古屋大学大学院 環境学研究科 都市環境学専攻 奥宮正哉 教授
環境に配慮した共生型システムには、建物デザイン、設備システムの統合が不可欠であり、庇の利用、断熱材、自然換気などがエネルギー負荷を軽減するファクターとなります。あわせて再生可能エネルギーの適切な利用で、エネルギー効率が高く快適な建築•都市の実現が可能となりますが、つねにモニタリングや解析と運用改善が建築デザイン•設計プロへの課題でもあるとのことでした。

演目2
○地域再開発事例/
演題:「東京スカイツリー地区」熱供給(地域冷暖房)システムの概要について
株式会社東武エネルギーマネジメント 常務取締役 今野真一郎氏
○企業導入事例/
演題:「レジリエントな街づくりとエネルギー需給」
清水建設株式会社 ecoBCP事業推進室スマートコミュニティ推進部 部長 橘 雅哉氏
○ 最先端技術導入事例/
演題:東京電機大学東京千住キャンパスの省エネ計画の先進性と竣工後の運用実績について
東京電機大学未来科学部建築学科 百田真史 準教授

各プロジェクトのシステム仕様や概要、実証については素人には専門的すぎて、
簡単にお伝えすることはできません(笑)。
が、年間で安定している地中熱の利用による空調システムの活用、
建物開口部である窓内に換気やフィルムによる効果で室内環境の空調負荷軽減に
大きく有効であることが実証結果で理解できました。
また計測計量の徹底したデータ収集による解析が重要であり、
運用後にはじめて分かるエネルギー消費や実質の推移などから
つねに最適化への日々の努力が『エネルギー効率1.3』を実現するものだと実感しました。
さらにはエネルギー効率とは違いますが、
「東京スカイツリー地区」「清水建設新本社ビル」「東京電機大学東京千住キャンパス」
のいずれのプロジェクトも災害時の対策に力を注いでいます。
地域の防災拠点として帰宅困難者や要援護者の受け入れ態勢(毛布)や
食糧(水)などの備蓄、地域への電力供給、
そして環境と防災をテーマとしたスマートコミュニティ構想まで。
今後、主要都市における企業、公共、住民との連携がますます推進され、
快適で安心•安全な街作り『スマートコミュニティ』、『スマートグリット』の実現は
一気に加速して行くのは疑う余地のないところでしょう。