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by takushin_blog
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独の再可エネ取組の実態を聴講して思う…

滋賀県再生可能エネルギー振興戦略プランを策定し、
積極的に再生可能エネルギーの導入促進に取り組む
滋賀県地域エネルギー振興室の主催により

2014.6.23(mon)
日独エネルギーシフトセミナー
「地域主導によるエネルギーヴェンテ(大転換)」が開催されました。

独の再可エネ取組の実態を聴講して思う…_b0215856_12584091.jpg


脱原発を掲げ、再生可能エネルギー先進国ドイツにおいて
エネルギーヴェンテ(大転換)を地域で実践する
市民エネルギー会社「ソーラーコンプレックス社」ベネ•ミュラー氏を招いて、
地域主導によるエネルギーシフトの在り方や
資源とお金が循環する地域づくりについての講演です。

当日は平日の昼間にも関わらず
定員70名をはるかに超える約150名ほどの参加があり、
京都大学や島根大学の教授をはじめ企業や一般の方まで。
この聴講の人数が再生可能エネルギー(以下、再可エネ)への関心の高さを物語っています。

ドイツにおけるエネルギー政策は
2002年4月/
●4大エネルギー会社と連邦政府(社会民主•緑連立)の脱原発協定
●「商用エネルギー生産にための原子力利用の計画的終了法」施行
などからスタートしています。
政権交代などを経て、現在の連立政権は脱原発を決定。
古い原発8基は即時運転終了、
より新しい原発は段階的に2022年までに運転終了となっています。

今回の「ソーラーコンプレックス社」は
2000年に20人の市民が有限会社として設立。
2007年から株式会社となり、現在の出資者数1000件。
2003年来黒字、2004年から配当を実現。
太陽光と太陽熱、風力、水力、バイオマス(地熱以外のすべて)などの
設計、建設、運転まで一貫して行い、それを市民や企業で共同出資。
誰もが新たに生まれるエネルギーシステムに参加でき、
地域限定で活動し、プロジェクトや設備は現地の雇用と経済価値を創出。
循環を閉し、エネルギーコストの流出を減らすこと、が主な基本姿勢です。

ザンクトゲオルゲン、ヘガウ•ボーデン、ボンドフル村、ムジークインゼル地区、
ガイリンゲン村などそれぞれの地域特性を活かした規模や発電方法、
年間の発電量とCO2削減量、売電収入、
地域の経済価値に至るまでを詳細に紹介していただきました。

村や地区といった小規模なエリアが中心ではありますが
エリアの需要を超える電力生産の余剰分を都市部に売電することで
地域経済の発展と豊かさを実現できているとともに、
国内(周辺)へのエネルギー供給をも実現。
こうした地域主導の活動が温暖化や環境エネ問題に大きく貢献するものと感じます。

さらにドイツではこの「ソーラーコンプレックス社」以外でも数多くの市民出資•参画による協同組合や株式会社など多様な主体の再可エネ活動が行われています。
多くのそうした努力があり、
発電に占める再可エネの割合は過去14年で5倍となっていて、
2020年までにドイツの電力需給の35%以上が、
2025年までに40〜45%が国産再可エネで生産の見込みとのこと。
この現実には日本の政策の遅れ、市民の関心など日独の差を痛感せずにいられません。


さて、意見交換会で興味深いデータがありましたのでご紹介します。

現在の日本国内における使用総電力需要のうち、2025年までに
50%を再生可能エネルギーで賄うようにするとしたら…の試算です。
○風力(50%)250ヶ所 →82500MW
○太陽光(25%)125ヶ所 →84000MW
○バイオマス(10%)50ヶ所→6250MW
○水力(10%)?ヶ所
○地熱(5%)3000ヶ所   ※水力と地熱の数字が見えませんでした。

なんとこれだけの建設が必要で、総費用は3600億ユーロ!
1ユーロ140円で計算すると総額50兆円でしょうか。(驚)
5兆円/年間の膨大な予算が必要になるとのことです。
が、東日本大震災の復興予算で年間5兆円程度の計上をしているので
十分可能な予算であろう、とミュラー氏曰く。


最近、全国の九電力すべてで株主総会が開かれました。
いずれでも、経営責任を問う声が強く上がりましたが、
経営側はすべて「再稼働で経営立て直し」を繰り返し、
「脱原発」を求める株主提案を否決しました。
経営側には「脱原発」に舵を切り替える考えは全くないことが明らかになりましたけど、
橋下大阪市長の「(関電の)経営陣として失格!」の発言も分かる気がします。

参考までに
化石燃料の依存度ですが2010年度は62%でしたが
2013年度は88%と石油ショック(1973年度)の80%よりも高い依存度に。
原油の83%、LNGの30%を中東地域に頼っていますので、
この地域の不安定さが日本のエネルギー供給に大きな影響があります。

そして今、私たちの身近な回りではガソリン価格の急騰が止まりません。
しかも今後生産量の低下も予想され、ますます高騰が危惧されます。
工業製品もコスト↑で価格上昇、家計を圧迫ってことも心配です。

原発の代替エネルギーが化石エネルギー依存のままで、
「原発の再稼働、再稼働」を繰り返す電力会社。
私たちの近未来はどうなる???なんて真剣に考えてしまいます。

講演報告から愚痴になってしまいましたね(笑)失礼いたしました。
by takushin_blog | 2014-06-30 13:01 | 琵琶湖スマートコモンズ関連